カシミールサファイア
(Kashmir Sapphire)


宝石には、その美しさと珍しさ希少性ゆえに様々な伝説が有ります。ビルマ・モゴクのルビーやコロンビア・ムソーのエメラルド、
近年ではブラジル。バターリャ産のパライバトルマリン等。

上記産地の宝石はウェブ上や実際に実物を見る機会が有ります。現在産出している石でも、バターリャのパライバの様に
既にほぼ枯渇した石でも、割合と見かけます。しかしカシミール・サファイアとなると話は別です。ほとんど見る機会は有りません。
石そのものが市場に出ることがほとんど有りませんから、正に幻のサファイアと言えるでしょう。



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インドパキスタン国境地帯。インド人に大人気の夏の避暑地スリナガル。北にカラコルム山脈、西に大ヒマラヤ山脈が有りますが
間にラダク山脈とザンスカール山脈とが並行し南東に伸びています。その中心付近にあるバッダール渓谷で、世にも美しい青色の
石が見つかったのが1881年(明治14年)と言われています。

さて、歴史的な事柄は他のサイト様などで詳しく記載されていますから割愛。
現状はどうなのかと言いますと




非常に乱暴な言い方ですが「現在進行形で極僅かに産出している。」というのが正解でしょう。
ところが商業採掘が出来るほどには採れません。ですので個人や少人数グループ単位での採掘が殆ど。


ですので、大半の日本の業者は仕入が難しいでしょう。


上記地図の青色で囲んだ部分が、非常に大雑把では有りますが「産出する可能性」のある地帯。

面白いのは南でサファイア、北でルビーが取れています。
どうやら北に行くほどに原石中の含有クロム分が増えていく傾向にある様な気配です。


最近産出したフーシャ・カラー(紫、マゼンタ色)のカシミール・サファイアなどもパキスタン側の鉱区。
GRSなどの鑑別機関では[Kashmir(pakistan)]の表記です。

では一体、当社で仕入れた


これなどは、どの辺りで産出したのでしょうか?興味は尽きません。





                                       文責

                                                             有限会社セラフアンドシーオー 河野 彰